「今日限りで辞めます」
そう言って職場を出た日、私は次に何をすればいいのか、何もわかっていませんでした。
不機嫌パワハラ、仕事を独占しての優越、介護休暇の取得妨害。
母の介護休暇の申し出に「1ヶ月も休まれたら困る」と圧をかけられ、軋轢を避けようと3週間で職場復帰した10日後、母は亡くなりました。
死に目に会えませんでした。
それでも好条件に引かれて、我慢し続けた4年半。
ある日、不機嫌パワハラがいつもよりひどくて、気づいたら「今日限りで辞めます」と口から出ていました。
この記事では、突然退職した後に私が実際に経験したハローワークでの手続きを、レポートします。
特に伝えたいのはこの2点です。
- パワハラの録音がなくても、診断書があれば給付制限が短縮できる可能性がある
- AIを使って申し立て内容を作成したら、思わぬ展開になった
同じような状況の看護師さんに、少しでも参考になれば嬉しいです。
パワハラで突然退職した日のこと

私が勤めていたのは、看護師2人体制の部署。
20年の古参看護師との二人きりの毎日でした。
日常的な不機嫌、小ばかにした態度、業務改善の提案を無視される日々。
「もう忘れたの?こないだ言ったよね」
「どんくっさ」
2人きりの職場で行き場がなく、誰にも相談できないまま時間だけが過ぎていきました。
決定的だったのは、母が癌で余命いくばくもなくなったときのことです。
介護休暇を申し出たとき、返ってきた言葉は「1ヶ月も休まれたら困る」でした。
2人職場なので、その人が自分の休みを取れなくなるからです。
本当は無視して取得すればよかった。
でも、その後も同じ職場で働き続けることを考えると、軋轢を避けたかった。
なので私は3週間で職場復帰しました。
その10日後、母は亡くなりました。死に目に会えませんでした。
また、介護休暇の所得を上司に申しでた時、「いつまで?」「どのくらい?」「ホスピス入れたら?」と言ってくる心無いの言葉。
「お母さん、大変やね、ゆっくり看ておいで」と言ってくれる温かさが、なぜあの職場にはなかったのか。
そういう環境であるべきだと、今でも思います。
それでも4年半、好条件に引かれて我慢し続けました。そしてある日、限界が来ました。
退職後すぐにやること・必要な書類

突然退職したあと、まず必要になる書類があります。
私が実際に受け取った&手配したものをまとめます。
職場から受け取る物
| 書類 | タイミング |
|---|---|
| 離職票(1.2) | 退職後10日前後に郵送 |
| 雇用保険被保険者証 | 離職票に同封されることが多い |
| 源泉徴収票 | 年末か退職時 |
| 健康保険資格喪失証明書 | 国民健康保険加入に必要 |
自分で手配するもの
- 国民健康保険の加入手続き(退職後14日以内)
- 国民年金への切り替え(退職後14日以内)
- ハローワークへの求職申し込みと失業給付金の申し込み
- 就労可能証明書を医師に記載してもらう
離職票が届かないと失業保険の手続きが始まりません。
私の場合は退職から約2週間で届きました。
届くのが遅い場合は職場に連絡して催促してOKです。
ハローワークの初回訪問時に必ず、就労可能証明書の用紙をもらい、記載してもらうために受診しましょう。
適応障害・うつ状態などで退職した場合に提出を求められる 「病気で辞めたけど、働ける状態です」をハローワークに証明するものです。
ハローワークに行くまでの流れ

離職票が届いたら、なるべく早くハローワークへ行きます。

行くのが遅くなればなるほど失業保険の受給開始も後伸びになります
- 離職票1・2(両方必要)
- 雇用保険被保険者証
- マイナンバーカード(または通知カードと身分証)
- 写真2枚(縦3cm×横2.5cm)
- 印鑑 本人名義の通帳

私の場合、母の介護休暇取得時のデータが残っており、銀行口座の登録はしないでOKでした
窓口では求職申し込みと離職票の提出を同時に行います。
その後、受給資格の認定を受けるための「雇用保険説明会」などの日程を案内されます。
そもそも私の体験はパワハラだったのか?

「パワハラ」という言葉は知っていても、自分の体験がパワハラに該当するのかどうか、辞めるまでずっと確信が持てませんでした。
ハラスメントにはいろんな種類があります。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| パワハラ | 職場の優位性を使った嫌がらせ全般 |
| セクハラ | 性的な言動による嫌がらせ |
| マタハラ | 妊娠・出産・育児を理由にした不利益な扱い |
| モラハラ | 言葉や態度で精神的に追い詰める行為 |
| ケアハラ | 介護を理由にした嫌がらせ・妨害 |
厚生労働省によると、パワハラとは①職場の優越的な関係を背景にした言動で、②業務上必要な範囲を超えており、③就業環境が害されるこの3つを満たすものと定義されています。
パワハラは「上司が理不尽に怒る」だけではありません。
同僚であっても、経験年数が上であれば優越的な関係とみなされる場合があります。
私の体験に当てはめると…
- 日常的な不機嫌・小ばかにした態度 → モラハラ+パワハラ
- 業務改善の提案を無視し続ける → パワハラ
- 介護休暇への圧力「1ヶ月も休まれたら困る」→ ケアハラ+パワハラ
- 能力や経験を無視して、仕事を与えなかったり、誰でもできる単純作業だけをやらせたりする→パワハラ
20年の古参看護師との2人きりの職場。
勤務年数による優越的な関係として、パワハラに該当すると今は確信しています。
「これってパワハラなの?」と迷っている方は、まず自分の体験を書き出してみてください。
案外、該当していることに気づくはずです。
パワハラをどう証明したか|録音なし・メモのみでの申し立て

ここが一番、同じ状況の方に伝えたい部分です。
私にはパワハラの録音がありませんでした。
日常的な不機嫌や小ばかにした態度は、気づいたときには録音できる状況ではなかったからです。
手元にあったのは「何月何日にこう言われた」というメモのみ。
最初にAIに相談したところ、「そのケースは口頭での聞き取りだけで大丈夫」と言われたので、メモ程度のものを持参してハローワークへ行きました。
ところが窓口で「そのレポートをそのまま提出してほしい」と言われ、その場では対応できず翌日清書して持参することに。
「聞き取りだけ」という情報は必ずしも正確ではありませんでした。
文書の作成にはAIを使いました。
自分だけで書こうとすると感情的になりすぎてしまうため、事実を整理して読みやすい文章にまとめるのにとても役立ちました。
提出から1週間後、ハローワークから電話があり病院側の回答が伝えられました。
離職票の「異議あり」について

離職票が届いたとき、退職理由の欄を必ず確認してください。
会社側が「自己都合退職」と記載していても、納得できない場合は異議を申し立てることができます。
離職票に「離職理由の確認」という欄があり、そこに
- 記載内容に異議ありにチェック
- 実際の退職理由(パワハラの事実)
を記入してハローワークに提出します。
私もこの「異議あり」で提出しました。
結果として病院側の主張が通りましたが、異議を申し立てたことで診断書と合わせて特定受給者(33)として認定してもらえました。
泣き寝入りせず、まず「異議あり」で出してみることをおすすめします。
特定受給者(33)に認定されるまでの経緯

ハローワークから電話での病院側の回答内容はこうでした。
「パワハラはなかった、との回答が病院側からありました。自己都合退職の扱いになります。ただし診断書があるため、給付制限は1週間のみです。内容に異議があれば直接病院の担当者に確認してください。
上司への相談がなかったのでパワハラはなかった。介護休暇も取得しできているから妨害もなかったとのことです」
結果としては、パワハラの申し立て自体は認められませんでした。
病院側が「そのような事実はない」と否定したためです。
なぜ病院側はパワハラを認めないのか

「なぜ否定するんだろう」と悔しい思いをしましたが、病院側にはパワハラを認めたくない明確な理由があります。
パワハラを認めると退職理由が「事業主(病院側)都合」になります。
事業主(病院側)都合退職を出した場合、「キャリアアップ助成金」や「トライアル雇用助成金」など、雇用促進を目的とした助成金の支給が一定期間認められなくなったり、減額されたりします。
つまり病院側にとって、パワハラを認めることはお金に直結する不利益なのです。
だから否定する。
録音などの決定的な証拠がない場合、相手が否定すれば認定は難しいというのが現実です。
泣き寝入りしたくない気持ちはありましたが、ここで区切りをつけることにしました。
それでも、医師の診断書によって特定受給者(コード33)として認定され、通常1ヶ月ある給付制限が1週間に短縮されました。
パワハラで退職を考えている方へ伝えたいこと

録音がなくても、以下があれば給付制限の短縮につながる可能性があります。
- 医師の診断書(適応障害・うつ状態など)
- 日付入りのメモ
- 第三者への相談記録
かかりつけ医や心療内科に相談することをおすすめします。
病院側は「上司への相談がなかったのでパワハラはなかった、。介護休暇も取得しできているから妨害もなかった」と言っているとのこと。
私は辞める前に、誰かに相談するべきでだったと強く思いました。
もし、今、悩んでいるなら、まずは相談できる人へ相談してみてください。
給付制限1週間・初回支給までのタイムライン

| 退職日 | |
| 約2週間後 | 離職票が届く |
| 〃 | ハローワークへ初回訪問、申請 |
| 〃 | パワハラ申し立て文書を翌日清書して提出 |
| 〃 | 就労可能証明書の提出 |
| 提出から1週間後 | ハローワークから電話・特定受給者認定の連絡 |
| ハローワーク初回訪問・申請から1か月後 | 初回の給付金支給 |
退職から初回支給まで約7週間でした。
通常の自己都合退職なら、2025年4月の法改正により給付制限は原則1ヶ月に短縮されました。
ただし5年以内に2回以上自己都合退職している場合は3ヶ月になります。
待機期間7日間と合わせると、初回支給まで約1ヶ月半が目安です。
診断書1枚で大きく変わりました。
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失業保険だけじゃない!国民健康保険料も軽減される

あまり知られていませんが、特定受給者(コード33)に認定されると、国民健康保険料が大幅に軽減される制度があります。
通常、退職後の国民健康保険料は前年の所得をもとに計算されるため、働いていたときの収入が高いほど保険料も高くなります。
しかし特定受給者・特定理由離職者に該当する場合、前年の給与所得を30/100(3割)とみなして計算してくれます。
つまり保険料が最大7割軽減される可能性があります。
手続き方法
市区町村の国民健康保険窓口で手続きします。
- 雇用保険受給資格者証(特定受給者:コード33)に認定されているもの
- マイナンバーカード
- 印鑑
- 通帳(口座振り込みにする場合)
必ずハローワークで雇用保険受給資格者証をもらってから、市区町村窓口へ行ってください。
まとめ|パワハラで退職した看護師へ

突然退職した後は、心も体も限界の状態でハローワークに行くことになります。
私自身、手続きの途中で何度も「もう全部投げ出したい」と思いました。
それでも動き続けられたのは、「次の職場では絶対に我慢だけの働き方はしない」という気持ちだけでした。
この記事でお伝えしたかったのはこの3つです。

・録音がなくてもあきらめないで。診断書で給付制限が短縮できる可能性がある
・申し立て文書はAIを活用して作成できる
・退職から初回支給まで約7週間。動き続ければ必ず前に進める
同じように悩んでいる看護師さんの力に、少しでもなれたら嬉しいです。
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